オトナ

入院中に24歳になった。22歳の誕生日に「都城で誕生日を迎えるのは最後だ」と盛大にお祝いいただいたが、23歳も24歳も都城で迎えることになるとは。

23歳の夏休みに感じていたように、連続的に時間が過ぎていくなかで「大人になった」と認識することは難しい。

それでもやはり、時間や経験が少しずつ自分をオトナにしている。

はじめての入院を経験し、それはたった1週間だったが、もしかしたら大きな転換点になるかもしれない。もしかしたらこれを機に僕はオトナになるのかもしれない。

ネットで「大盛無料を断れたら大人」という書き込みを見たことがあるが、この定義に従えば僕は今日オトナになった。というか、オーバーキルで大人になった。具体的にいうと7分盛りにした。

7部盛にしても多いけど!

日乃屋カレーは東京でよく見かけていたが食べたことはなく、ちょっと気になっていた。そんな折どういうわけか都城に出店したということで、退院したら食べに行くぞと決めていったところだった。ここでは大盛が無料ということで、これまでなら迷うことなく大盛だった。僕はドキブ(ドカ食い気絶部)の部員である自覚もあり、空腹時に大食いしては「こんなことは若いうちしかできないらしいし」と急峻な血糖値カーブを許容し、望んでもいた。昨年度この街で過ごしていた頃は、働いてお金があったこともあり、学生の頃からよく行っていた定食屋さんで味噌汁をうどんに替えるという贅沢を躊躇なくできるようになったのが嬉しくて、毎週のように「かつ丼の味噌汁をうどんに替えて両方大盛」をいただいていた。+100円のミニうどんを大盛にできる方がおかしいとも思うが、それを注文することが日々の労働への慰めであり、働くオトナの証のような気もしていた。

そんな僕が、大盛無料のお店で7部盛を選択した。去年までのオトナとは違う、ワンランク上の余裕があるオトナ。それが僕なのだ。

実は大盛無料を注文してしまうのは経済合理性の観点、つまり効用を最大化しようとする作用であって、これは空腹うんぬんかんぬんとは次元の違う話だということにはみんな心の奥で気づいていたはずだ。人間は利得より損失を課題に評価してしまうものだから、なんとなく損した気がするんだよね。

でも僕は今日その壁を超えられたかもしれない。心の底から納得して7部盛を選択した。

カレーがちょっと辛かったので食後にソフトクリームをいただいた。僕は別にカロリーとかそういう計算で7部盛を選択したわけではないので、ソフトクリームを食べることには何の問題もない。自身の効用の最大化のための冷静な判断に基づくのだ。オトナなので、無理も我慢もしない。

今日のカレーを機に俺もついに”オトナ”か…。感慨に浸りながらソフトクリームを食べる足元には、「カリー」の植栽があった。

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