
金沢カレー
石川に引っ越して3週間が経った。基本的に平日は自炊していて、週末は外食を自分に許している。普段は鶏むね肉と野菜とそばと卵を組み合わせたものを食べているのだが、週末は金沢カレーを食べることが多い。

自分の食卓では揚げ物とか豚肉を扱わないので、週末はこういったジャンクフードに足が向いてしまう。見ての通り、金沢カレーではカレーというより揚げ物が主役で、米もカレーも揚げ物を美味く食べるためにあるのではないかとも思う。

基本的に僕の週末の目的地は温泉♨️なのだが、浴後にGoogleMapで食事を探すと、金沢カレーチェーンの本店が目に入る。
金沢カレーという新しい文化圏での生活が始まり、その目新しさと「土地の名物を本場で食べている感」が楽しい。なにより、写真のような全部乗せカレーを食べると満腹になるのだが、これが1000円程度で頂けるというのも魅力的だ。
ところで、金沢カレーで「土地の名物を本場で食べている感」を感じてはいるが、もちろん金沢でカレーのもとになるスパイスが採れるわけではなく、豚肉とか揚げ物に金沢の優位性があるわけでもなく、金沢カレーはいわば「金沢の人が始めたスタイルのカレー」である(金沢カレーの沿革については、カレーのチャンピオンがまとめたこのページが詳しい)。
博多ラーメン
さて、金沢カレーを食べながら連想するのは、出身・九州の博多ラーメンのこと(以下は博多ラーメンというセンシティブワードを多用しますが、これは地名+一般名詞の組み合わせが他より普及しているからで、ここでは豚骨+細麺という程度の認識に留めてください)。
3月末の引っ越しに際して、福岡を経由し、名店「赤のれん」のラーメンを頂いた。博多ラーメンの発祥に関しては諸説あるが、当店を起源とする説もある。
博多駅前に本店をおく一幸舎は、画像に示すように「平麺」という特徴があり(店内ポスターに博多ラーメンは本来平麺だと主張している。)、他店と一線を画している(普通の麺を作る3倍の時間がかかることから、総本店のみでの提供となっている)。
これまた有名店「博多だるま」も頂いたが、店名に博多を冠していることから、アイデンティティとしては博多ラーメンなのであろう。しかし、上記2店舗とは違う個性があり、博多ラーメンを統一して見解するのは戦争の火種にしかならないことがわかる。(ちなみにこの炙りチャーシューは本店限定です。金沢カレーは割とどの店舗で食べても同じだと思いますが、博多ラーメンは本店に個性ありがちという楽しみもあります。)
ちなみに、替え玉システムの源流は「元祖長浜や」で、これは「長浜ラーメン」として博多ラーメンとは別のカテゴライズをされることが多い。
ここで重要なのは、博多ラーメンが何たるかではない。この「いずれも」が、福岡近郊でしか食べられないということだ。
金沢カレーと博多ラーメン
全国チェーンのゴーゴーカレーは全国で食べられるうえに、金沢カレーとしてそれなりのポジションを保っているように思う。カレーと別にソースがかかっているという特徴があるが、やはり「揚げ物を楽しむためのカレー」という部分でコンセンサスが取れているため、問題にされていないのではないだろうか。これは「金沢カレーはカレーと似た別の食べ物」というセンテンスが慣用句としてよく用いられることからもうかがえる。
もちろん、個人の好みはあるだろうが、ゴーゴーカレーがあることによって金沢カレーは全国で食べることができる感がある。
一方の博多ラーメンは、上記のように博多ラーメンを定義しようとするだけでひと悶着起こるわけだが、しかしそのいずれの系譜も全国で食べることはできない。「一蘭があるじゃん?」と思われる方もいるだろうが、「一蘭は博多ラーメンじゃないよね」という点に関してはなぜかコンセンサスがある。「実は一蘭自身は博多ラーメンを自称していない」ということもあるだろうが、本社は博多にあり、特徴も博多ラーメンのそれと大いに重なるため、それだけで語ることはできないだろう。ただ、「あれは博多ラーメンに似た『一蘭』という食べ物だ」という言葉も聞かれ、金沢カレーとレイヤーは違うものの、同様の現象が起こっている。これは一蘭がまずいという意味ではなく、一蘭は美味しいし、博多でも週末になると行列ができる。僕も好きだが、私見を述べると、一蘭の特徴はコラーゲンたっぷりのスープで油が多めになっており、こってり感・ギトギト感・豚骨臭さをあえて前面に出すことで、インパクトが強く「目立つ」ラーメンになっている。博多ラーメンの多くはこんなにこってりしておらず、実はあっさりめのものが多いことから、一蘭はやや異端となる。それに輪をかけて、味集中カウンターや注文スタイルも個性的で、客は一蘭が思う「最高のラーメン」に従うことになる。僕はこれに「押しつけがましさ」を感じるが、それはおそらく僕だけではなく、「全国に受け入れられて本流みたいな顔をしているが俺は認めん」と反発したくなる気持ちが起きることもうなずける。(繰り返すが一蘭は博多ラーメンを自称しておらず、言いがかりもいいところである。)
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これから僕は僕はどこに住むかわからないが、この2年間を懐かしく思ってきっと金沢カレー(というかカレーソース揚げ物)が食べたくなるだろう。そしてその時は近所のゴーゴーカレーに行くだろう。でも、きっと博多ラーメンを食べたくなることはない。「元祖長浜やが食べたい」とか、「だるまが食べたい」とか思うから、一蘭に行くのは一蘭に行きたいときだけだ。
そんなことを考えながら、やたら味の濃いカレーを食べている。








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